乾癬(かんせん)について
乾癬(かんせん)は、免疫が活性化しすぎてしまうことで発症する慢性的な皮膚の病気です。日本では、300人に1人程度の割合で患者様がいると言われています。日本の患者様の約65%は男性で、発症年齢のピークは男性では30代と60代、女性では20代とやや性差があります。
感染は数種類に分類され、症状の現れ方はそれぞれ異なります。頭、膝、肘、腰など擦れることが多い部位に症状が出やすいのが特徴です。
当院は日本皮膚科学会より乾癬分子標的薬使用施設として承認されたクリニックです。
既存の治療で十分な効果を得られていない乾癬の患者様の治療として、分子標的薬を用いた治療を実施しております。
乾癬(かんせん)の種類
乾癬には次のような種類があります。
尋常性乾癬
乾癬のうち約70~80%を占め、皮膚が赤くなる紅斑、皮膚が盛り上がる肥厚・浸潤、フケのような鱗屑が表面に付着して剥がれるといった症状が起こります。40~80%の患者様で爪症状、約50%の患者様でかゆみが現れることがあります。
症状が出ていない皮膚に刺激が加わると、それをきっかけに新たな発疹ができる「ケネブル現象」に注意が必要です。
乾癬性関節炎
乾癬によって関節に炎症が起こりますが、先に皮膚症状が現れることも多いです。手足や首、背骨、足などの関節に腫れやこわばり、痛みを生じます。関節リウマチに似た症状で間違われるケースもありますが、違う病気です。
滴状乾癬
水滴のような小さな発疹が全身に現れます。乾癬の患者様のうち約4%に発症し、小児や若者に多い傾向にあります。
感染症にかかったのをきっかけに発症することがあり、特に扁桃腺炎が誘因となりやすいとされています。感染症が治ると症状も治まりますが、何度も再発すると尋常性乾癬に移行する可能性もあります。
乾癬性紅皮症
尋常性乾癬が全身に広がり、全身の皮膚の90%に赤みを帯びて鱗屑が剥がれる状態です。乾癬の患者様のうち約1%に発症します。
発熱、悪寒、倦怠感などを伴い、皮膚炎や感染症、薬剤などがきっかけで起こります。乾癬を治療せずに放置したり、治療が不十分であったりすると発症することがあります。
膿疱性乾癬
厚生労働省の指定難病で、発熱や皮膚の発赤と同時に膿の入った嚢胞が多数できる病気です。手の平などの身体の一部に症状が起こる限局型と、全身に症状が起こる汎発性膿疱性乾癬があります。汎発性膿疱性乾癬は急な発熱を伴い、ほとんどの患者様は入院しての治療が必要です。
こんなことでお悩みはありませんか?
- 皮膚が赤くなる
- 皮膚の表面が盛り上がる
- フケのようなものがポロポロと出てくる
- かゆくなる
- 爪が変形する
- 爪が白くなる
など
このようなことでお悩みでしたら、横浜市青葉区のたまプラーザ駅前皮ふ科へご相談ください。
乾癬(かんせん)の原因
乾癬の原因は、未だに完全にわかっていません。症状は免疫系の過剰な働きによって起こりますが、その免疫異常は遺伝的な体質によるものと環境によるものの相互作用によって発生すると言われています。感染性の病気ではありません。
乾癬の原因と考えられている要素
- 炎症を起こしやすい体質
- 精神的ストレス
- 感染症(特に溶連菌)
- 冬など乾燥する気候
- 薬の使用
- 睡眠不足
- 高カロリー食
- 過度の飲酒
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 肥満
など
乾癬(かんせん)の検査方法
視診
多くの場合、問診と視診によって診断が可能です。乾癬に見えても、実は違う皮膚の病気の可能性があるため、問診で家族歴や年齢、内服薬の有無や生活習慣などを確認し、視診によって乾癬の症状が出やすい手足、頭皮、肘、膝などを観察します。
皮膚生検
視診で乾癬と診断できない場合、症状が一番強く出ている部分の皮膚を一部切り取り、病理検査で組織を調べます。
画像検査
関節の炎症が起きている場合、変形や破壊の有無を調べるために超音波検査(エコー検査)、X線撮影、MRIなどの画像検査を実施します。
血液検査
肝機能や腎機能を調べ、脂質異常症(高脂血症)や糖尿病など乾癬の原因として考えられるものを調べるほか、治療前の状態を確認します。また、関節の炎症がある場合は関節リウマチとの鑑別のためのRF因子、炎症反応の有無を調べることがあります。
乾癬(かんせん)の治療方法
外用療法
最初に選択されることが多い治療方法で、症状が出ている部分に直接薬を塗ります。ステロイドで炎症を抑え、ビタミンD3外用薬で皮膚細胞の異常増殖を抑えます。
光線療法(ナローバンドUVB療法)
紫外線が免疫の過剰反応を抑える性質を利用して、紫外線を照射して症状の改善を試みます。症状が広範囲に出て薬を塗る時間がかかる、薬を塗っても効果が見られない場合に行われ、通院治療では週に2~3回の頻度で行います。
当院では、ナローバンドUVB療法の半身型紫外線治療器を導入しています。
内服療法
比較的症状が重い場合に行われます。外用療法や光線療法と同時に行われることが多く、飲み薬で免疫の過剰な働きや炎症、皮膚細胞の異常増殖を抑制します。