ヘルペスについて
ヘルペスは急性の炎症性皮膚疾患で、元々は小さな水疱の集まりを言います。今は「単純疱疹」または「帯状疱疹」のことを指すのが一般的です。水疱にはたくさんの感染力が強いウイルスが含まれており、空気感染、飛沫感染、接触感染のどの経路でも感染性が確認されています。
ヘルペスウイルスは複数存在し、背中やお腹など広範囲に痛みを伴う水疱ができる「帯状疱疹」、唇に水疱ができる「口唇ヘルペス」や性器に水疱ができる「性器ヘルペス」などの「単純ヘルペス」と、感染したウイルスの種類によって呼び方が変わります。
帯状疱疹
水痘・帯状疱疹ウイルスによって感染するヘルペスです。初めての感染は「水ぼうそう」と呼ばれ、乳幼児~小児の間にかかることが多いです。小さい頃に感染すると、かかったことがわからない方もいるほど症状が軽く済みますが、大人になって初めて感染すると発熱や水疱の症状が強く出る傾向にあります。
感染するとウイルスが神経節に潜伏感染し、成長してからも免疫力が低下した時に「帯状疱疹」を発症する可能性があります。日本では1年で約60万人が帯状疱疹にかかっています。
単純ヘルペス
単純ヘルペスウイルスⅠ型に感染すると口唇ヘルペス、単純ヘルペスウイルスⅡ型に感染すると性器ヘルペスを発症すると言われています。Ⅱ型は再発を繰り返しますが、実際にはⅠ型による感染が約70%です。唇や性器の皮膚や粘膜からウイルスが体内に侵入し、水疱や潰瘍が生じます。キスや食器の共有、性行為によって感染します。
こんなことでお悩みではありませんか?
- 痛み、違和感を伴う発赤や水疱ができる
- 唇や性器のまわりに水疱ができる
- 口の中がただれる
- 口のまわりがムズムズする、チクチクする
- 目のまわりが赤い、かゆい
- 強い倦怠感がある
- 高熱が出る
- 手の爪のまわりに膿や発赤がある
など
このようなことでお悩みでしたら、横浜市青葉区のたまプラーザ駅前皮ふ科へご相談ください。
ヘルペスの原因
最初は皮膚や粘膜にウイルスが感染して起こります。ヘルペスウイルスに一度感染すると、体内から完全に消えることはありません。知覚神経節の神経細胞核の中で、遺伝子の形で存在する潜伏ウイルスとなります。そのため、疲労、睡眠不足、ストレス、月経前、紫外線によるダメージを受けると免疫力が低下し、神経にそって水疱や発赤などの症状が再発します。再発の場所は、初発の時と大体同じ箇所です。
ヘルペスの検査方法
問診や視診などの症状から診断可能ですが、見分けがつきにくい場合は検査で確定診断を行う場合があります。
抗原検査
患部から直接浸出液を採取して、ヘルペスウイルス抗原の有無を調べます。
細胞診
患部から採取した浸出液を染色し、ウイルス性の細胞を顕微鏡で調べます。
核酸検査
PCR法、LAMP法といった方法で、微量なウイルスを増幅して遺伝子型まで調べます。
ウイルス分離
患部から採取した浸出液を摂取して細胞が変性するか(=ウイルスが存在するか)調べます。
ヘルペスの治療方法
薬物療法
通常、症状が現れたらできるだけ早い段階でファムシクロビル、バラシクロビルなどの抗ウイルス薬を内服します。症状が強い場合は点滴する場合もあります。治療開始は早ければ早いほど良いです。
年に6回以上性器ヘルペスを再発する場合は、再発抑制のために半年からから1年の長期間にわたって抗ウイルス薬を服用し、症状を抑えます。また、あまり症状が強くない場合は外用薬として軟膏を用いることもあります。
その他、二次感染対策として抗生物質を、目のまわりに感染して角膜ヘルペスを発症している場合は点眼薬が用いられることもあります。
感染・再発の予防方法
現時点では、一度神経細胞に潜伏感染すると根治する手段はありません。感染防止のためにできること、再発防止のために有効なことを普段から心がけるようにしましょう。
- 家族間でのタオルの共有などを避ける
- パートナーと感染リスクについて共有する
- 積極的に休息をとる
- 紫外線を避ける
- 規則正しい生活を送る
- バランスのとれた食生活を心がける
など